
Xduoo X10Tという現在29,800円で販売されているポータブルトランスポートです。販売サイトはこちら
ipod、walkmanのようなポータブルプレーヤーと違い内臓のアンプを持たず、デジタル出力のみが可能というとってもニッチな製品です。まずこんなニッチなものを製品化したというだけでもXduooには「良くやった!」と言いたいです(笑)
まず良い点と悪い点を簡単にまとめます。
良い点
・流石デジタル出力専用機なだけあって音質は良い(専用機だからきっと良い物だろうという先入観はあるかもしれない)
・シンプルで最低限のUIではあるが、動作はとても機敏で快適(Xduoo X10とほぼ同じUI)
・小型でどんな製品とも合わせやすい
・MicroSDを2枚使用可能
悪い点
・曲の出だしがほんの少しだけ音が欠ける
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1、動作は機敏で操作性はなかなか良い、ただ曲の出だしが少し欠けるのは気になる人も多いだろう
あまり凝ったUIでは無いですが動作自体は機敏なため使い勝手は悪くないと思います。UI自体はXduoo X10とほぼ全く一緒なのですが、ホイール操作がメインであったX10と違いX10Tはボタン操作のみになった影響でスクロールの速度も格段に上がり快適度は増したと思います。(X10とX10Tのどちらもボタン操作時の動作はほぼ同じ)

2、MicroSD2枚挿しに対応
AK100から始まったこのMicroSDの2枚挿しですが、AKは2枚挿しを採用しなくなりましたし、QuestyleもQP2Rは2枚挿しでは無くなると何故か減少傾向の機構ですが、個人的には物凄く便利な機能だと思っています。昨今は外部メディアの大容量化が急速に進んでおり、メディア自体の低価格化も進んでいますのでこの2枚挿し方式は今後も続けてほしいところです。
音質面

今回のX10Tはデジタルトランスポートということで、細かな事よりも「実際デジタル出力でそんなに音って変わるの??」というところが一番関心を持たれるところだと思います。ですので今回は私の手持ちでデジタル出力が出来るDAPを総動員して比較試聴を行います。その上で予め断っておきたいのですが、私の中に「X10Tは専用機なんだしきっと他より良い音が出るだろう」という先入観があることは否定できません。その上での比較試聴の結果としてご覧頂ければと思います。

1、X10Tの光、同軸出力の比較
X10Tには「光」、「同軸」、「GND分離同軸」、「AES」の4つの出力があります。(AESは対応機材が手持ちで無いため今回の比較では使用しません)これらの出力の音質を同軸ケーブルはX10Tの付属ケーブル、光ケーブルはALPHA DESIGN LABS OPT-MT-0.1mという6千円ほどするケーブルを使用して比較試聴しました。そのためケーブルのグレードだけで言えば光のほうが有利な条件での比較です。使用した機材は画像の通りChordのmojoになります。
結果としては「GND分離同軸」>「同軸」>>>>「光」ということで断然同軸のほうが音質は良く感じました。光出力の音も単体で聴けば悪くは無いのですが、同軸に変えた途端音がハッキリわかるほどクッキリとして、特に分かりやすいのは光では低音域が少しピントの甘い音だったのが、同軸出力ではしっかりとフォーカスの合ったハッキリとした音で再生されます。GND分離同軸と同軸の差は意外と微々たるもので、少しGND分離同軸のほうが高音域が鮮やかになっているかな?という印象でした。

2、同軸出力の音質比較
同軸出力はXduoo X10T、ibasso DX90J、QLS QA360、YinLvMei D200+、Flang V5、Cayin N6を比較していきます。Flang V5だけはRCA端子での出力なため写真左下のケーブルを使用して比較しています。
まず音質の印象としては
GND分離X10T>X10T>QLS QA360>Flang V5>Cayin N6>ibasso DX90J
GND分離X10T・・・X10Tより音の輪郭がはっきり
X10T・・・GND分離より少し低音弱め
QLS QA360・・・・Cayin N6よりタイトな音、全体的に明るい音で輪郭もハッキリ
Flang V5・・・QA360の音と似ていてなかなかタイトな音だが少しこちらのほうが音の明瞭さで劣るように聞こえる
Cayin N6・・・Dx90Jより高音域に曇り、少し低音強め、音の広がりはあるのだが全体的に音の輪郭は緩い
ibasso DX90J・・・音が曇り気味、全体的に音が引っ込んだように聞こえる

3、光出力の音質比較
まず大前提として光より同軸のほうが基本的に音質が良い印象でした。全体的に同軸のほうが音の芯がハッキリしている印象で解像度は結構わかるくらい違うと思います。
X10T≧Plenue2>>QP1R>YinLvMei D200+>>X10>Shanling M3>AK100
X10T・・・最も解像度が高く個々の楽器がハッキリと再生される。ただしPlenue2のほうが音に広がりがありナチュラルで聞きやすい音なためこの2機種は良し悪しより好みの差という印象。
Plenue2・・・解像度が高いものの音の輪郭に強調感がなくナチュラル
QP1R・・・Plenue2より明瞭さで劣る印象
YinLvMei D200+・・・QP1Rより少し明瞭さで劣る印象
X10・・・X10TやPluene2と比べて高音域に霞がかかる印象
Shanling M3・・・明瞭ではあるのだが、音の輪郭がジャキジャキしていて人工的な違和感がある
AK100・・・音がこもり気味、低音の力感も少なく物足りなさを感じる

4、使い勝手が良く、手軽に音質向上を狙えるトランスポート
大きさがXduoo X10とほぼ同じくらいと小型なためどんな機材とも合わせやすいですし、非常に使いやすいポータブルトランスポートだと思いました。最近はデジタル出力の出来るDAPも色々とありますが、デジタル出力をメインで使用するのであればXduoo X10Tはかなり良い選択肢ではないかなと思います。
音質面に関しては優劣をつけて記載しましたが、正直極端な差があるわけではなく微量な差であり、ブラインドテストで同じ結果になる自信は全くありませんwですが、この製品自体がそういった微量なところにまで拘りたい人向けのアイテムだとおもいますので、私より耳のよい方々はもっと明確に差を感じられるんではないかなと思います。値段もそこまで高くは無いですし、Chord MojoやhugoのようなポータブルDACの運用を考えられている方は是非検討してみてください。