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CVJ Kumoという現在199ドルで販売されている8BA構成イヤホンのレビューです。今回の製品はあのiphoneを分解してオーディオ用に作り替える荒業DAPを販売しているKAEIとのコラボ製品となっているようです。199ドルで約3万円って内外差大分あるなとか思ったのですが、円相場がヤバいだけでほぼ内外差0の価格でした。マジ円安どうにかならん?(苦笑
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注目ポイント
・高周波および超高周波領域用の 31736 BA ドライバーが 4 基、鮮明な中音域用に 29689 が 2 基、強力でタイトで正確なローエンド応答用に 22955 が 2 基搭載されています。
→8BAの内訳として、結構高音域にドライバ数が多く振られています。BAは型番的にKnowlesっぽいのですが、Knowlesとの記載は無いのでちょっと不明(確かbelsingに同じ型番のドライバとかあったと思うので)ダンパーはKnowlesって書いてあるんですけどね。
・4 つのチューニング スイッチで出力を好みに調整します
→4つもスイッチあったらわかりにくいと思ったのですが、そのまんまグラフィックイコライザのように使えるスイッチなので、むしろ一般的な2つのスイッチタイプより音は使いやすかったです。

良い点
・音はなかなか良い。8BA構成でありながら非常に分離の良い引き締まった音が鳴ってくれ、良い意味で多ドラっぽくない音。
・全体的に明瞭でスッキリとした音で、とても軽快な元気の良い音が好感。
・音質のスイッチは4つもあって使い勝手が心配だったが、右端が高音域、左端が低音域と、グラフィックイコライザを弄る感覚で変えられるのでむしろ一般的な2スイッチの物より使いやすい
・筐体がかなりしっかりとした合金のシェルで造りが良い。
悪い点
・スイッチである程度音は変えられるが、どう変えても全体的に元気なドンシャリ傾向の音(大分抑えることはできる)

レビューはスイッチ全てオフにした初期状態の音を基本として書きます。
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音質評価 89点
1、8BAだが非常に分離の良いスッキリとした音で、良い意味で多BAらしくない非常にハキハキとした音離れの良さがあるのが非常に好印象。

音はなかなか良いです。全体的に軽いドンシャリ傾向の元気な音なのですが、8BAという構成でありながら音の分離がとても良く、それでいて低音域の重みのあるアタック感のある音もしっかり出してくれて、良い意味で「ドンシャリの王道」みたいな音を出してくれます。ドンシャリ傾向のため高音域は主張は強めで刺さりもそれなりにあるのですが、スイッチで最高音域をオフにした音にしてあげると、高音域の主張をかなり抑制してくれ、しかも抑制した状態でも高音域の量感が下がるだけで変に音の曇り感が付加されないのが非常に良いですね。他社製品ではありますが、TRN BA15に音が似ていてあれにスイッチを付けたような音かなと。
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音のバランス(スイッチ全てオフ時)
高音域 □□□□
中音域 □□□
低音域 □□□□■
2、非常に分離の良いキレの良い音で、良い意味で金属的な音の強調感、鋭さが適度に乗ってくれるのが非常に聴いていて楽しい。

音はドンシャリ傾向、音場は少し広め。
高音域はかなり明瞭でハッキリとした、鮮やかで刺激的ではあるものの少し刺さりやすいピーキーさも持ち合わせた音になっています。この高音域の質感は好みが分かれそうで、刺さりが嫌な人はスイッチで高音域を下げても少し気になる刺さりやすさかなと思います。個人的にはドラムのハイハットの音が非常に明瞭で刺激的な音で鳴ってくれとて、それでいてある程度のピーキーさはありつつも刺さりに変な強調感があるわけではないので個人的には明瞭な音として好意的に捉えられる音。
中音域は分離のハッキリとした音で変に音像を拡大することもなく適切な定位感で鳴ってくれる。特に音の余韻の気持ち良さとかは感じられないものの、クセの少ない音を淡々と鳴らしてくれる感じで悪くない。これだけBAを沢山積んでるイヤホンだと中音域は変に音がボヤけたり、わざとらしく音像が大きく再生される物が多い中、これだけ自然な方向で良い意味で普通の音を鳴らしてくれるのはとても好印象。ただ、あくまで多BAの割にはという注釈は入る感じで、1Dや1BAといったシンプルな構成のイヤホンのほうが中音域の自然さは上。
低音域は厚みがありつつも分離が良く、良い意味で金属的な音の鋭さも乗ったキレの良い音がとても好印象。低音域はある程度音のエッジに強調感のある音で、分離が良くそれでいて力感のある音がなかなか良いです。多BA系によくある所謂「濃い音」という感じではなく、しっかりと重みのある重低音域の表現をしつつつも音の被り感があまり無い、スピード感のある音になっているのが非常に良いですね。
相性の良い音源は、パワーメタル、POPS、軽快なアニソン、ゲームサウンド、EDMなど。基本的に元気なドンシャリ傾向の音なので、ノリが良い元気な音の音源と相性が良い。
相性の悪い音源はクラシック、バラード、ジャズなど。生楽器系やボーカルが主体となり音源はもっとドライバ構成がシンプルなイヤホンのほうが良い選択肢のものがあると思う。
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3、チューニングスイッチはグラフィックイコライザを弄る感覚で使えて使いやすい。ただ中音域だけ上げる設定にしてもある程度ドンシャリ傾向のままなので「苦手な帯域を少し下げる」くらいの用途で考えたほうが良い。
チューニングスイッチ系は正直弄っているうちに何が何だか分からなくなってくるのであまり好きでは無いほうだったのですが、このイヤホンは左側で低音域、右側が高音域とグラフィックイコライザのように非常にわかりやすく弄れるので結構印象が良かったです。ただ、このスイッチにより「ドンシャリからフラットまで全部対応できる」とか、そういうことはなく、スイッチで中音域を強めなバランスにしてもある程度ドンシャリ傾向なことには変わりがないので、あくまで「高音域が刺激的すぎるから少し下げる」とか、そういった苦手な帯域を少し下げたり、欲しい帯域を少し上げる用途として使える感じで基本的にはドンシャリ傾向は変わらないと思ったほうがいいです。
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おススメ度 90点
4、多BAっぽくない分離の良い明瞭さのある音がとても良かった。音変更のスイッチも使いやすく遊び心があるイヤホン。

音はなかなか良かったです。8BA構成ということで変に音が濃い、よくある少し曇ったタイプのイヤホンなのかなと思っていましたが、とても分離の良い明瞭な音に仕上がっているのがとても好印象でした。スイッチも良い意味で極端な変化をせず、特定帯域を少しだけ上げたり下げたりできる感じなので気分によって使い分けができそうですし、全体的にドンシャリ傾向の元気音だよということさえ予めわかっていれば、非常に遊び心があり楽しく使えるイヤホンだと思います。
明瞭なハッキリとした音のイヤホンが欲しい人、遊び心があるノリの良いイヤホンが欲しい人におススメしたいイヤホンです。