
TINHIFI T1Sという現在29ドルで販売されているベリリウムコートのダイナミックドライバ1発構成のイヤホンのレビューです。
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注目ポイント
・10mmのベリリウムコートの振動板で真鍮の筐体を採用したダイナミックドライバを使用
→ベリリウムコートの振動板は最近珍しくないですが、ドライバのキャパシティが真鍮だよってところをアピールしているのは珍しいかな(まぁでもよくある)
良い点
・中、低域の質感は悪くない
・全体的には極端なドンシャリにもならない比較的クセの少ない音
・筐体が小さく装着感が良好
悪い点
・高音域が明瞭感に欠ける
・全体的に音の分離がイマイチ
・良くも悪くもクセこそ少ないが良いと思える特徴も無い
・29ドルだから仕方ないとはいえ、それでも同価格帯のイヤホンと比べても安っぽい


音質評価 68点
1、29ドルのイヤホンとしては別に悪くはないが、高音域の明瞭さに欠ける音や、比較的クセ少ないが良いと思える特徴も無いなんとも面白味のない音。
音は正直イマイチです。29ドルという価格を考えたら別に特別音が悪いというわけではないのですが、個人的に「TINHIFIにこういう音は求めてない」という気持ちも含めて期待外れな印象が強い製品でした。音の傾向は低音域が少し強めなバランスで、個々の音の癖は少ないタイプです。ただ、何というか本当クセは無いけど、個々の帯域の質感は別に良くないので、別に良いと思える点も無いという本当煮え切らないタイプの音です。同社の製品は「軽いドンシャリの元気音で特徴はあるけど、それはそれで面白いよね!」って製品が多くて、個人的にはそういう音造りの会社なんだろうなと勝手に解釈していただけに、今作は正直かなり??となりました。


音のバランス
高音域 □□■
中音域 □□□
低音域 □□□□
2、高音域は曇りこそしないが明瞭感に欠け寸詰まり感がある。中音域は厚みのある音で違和感は少ない。低音域は分離はイマイチだが重みのある力感のある音を鳴らす。
音は軽く低音域寄りです。音場は広くも狭くもなく。
高音域は曇りまではしないものの、明瞭感に欠けて正直イマイチです。ドラムのシンバル帯域のような音が大分遠くで鳴ってしまう印象もあり、どうにも聴いていて高音域のスッキリ感が無いことから聴いていて少しモヤッとした気持ちになります。
中音域は厚みのあるクセの少ない音を鳴らすものの、少し音の抜けの悪さが気になります。ボーカル帯域の質感は少し低めの帯域が強調気味で音像が大き目に鳴りますが、音自体はそこまでクセの無い音を鳴らしてくれると思います。ただ、少し音の抜けの悪さから高音域同様少しスッキリしない感じがあります。
低音域は少し膨らみのある音で分離はイマイチなものの、力感のある音を鳴らします。スラッシュメタル等のスピード感のある音源では音の分離が追い付かずスピード感に欠けてイマイチですが、ロック等では少し強調気味の低音域がいい具合にアクセントとなり楽しく聴けます。低音の質感も悪くなく、しっかりと重低音まで再現された重みのある音を鳴らします。
相性の良い音源は、ロック、ハードロック、ポップスなど、低音域の力感が強いのでミドルテンポのノリが良い音源と相性が良いです。
相性の悪い音源は、スラッシュメタル、デスメタル、打ち込み系など。基本的に低音域の分離がイマイチなのでスピード感のある音源はイマイチかなと。

おススメ度 67点
3、29ドルという価格を考えたら別に悪いイヤホンではないが、TINHIFIにこういうのは求めてなかったなぁというのが本音なイヤホン。
このイヤホンは正直TINHIFIらしくない音造りで大分??となりました。同メーカーは少し高音域が目立つドンシャリ傾向のイヤホンを沢山作っているメーカーで、そういう音造りがメーカーの色なのかなと思っていたのですが、このイヤホンはそういった今までの傾向とはかなり異なります。低音域が強めな帯域バランスではあるものの、個々の音の質感はクセが無く良くも悪くも誇張の少ない音です。ただ、個々の帯域の質感は別に高いわけじゃないので、良くも悪くも「こういう音を低価格イヤホンのドライバでやられても、、、」って感じに、細かい音の粗ばっかり気になって正直あまり聴いていて楽しくなかったのが本音だったりします。TINHIFIは「元気に鳴らす傾向ではあるけど、楽しく聴ける」みたいな、製品が他に沢山あるので、そちらをおススメしたいのが本音です。(T3とかT2proとか)