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S.T.E. CableのAg W16という現在580ドルで販売されているケーブルのレビューです。今回のは2021年バージョンでパッケージなどは通常と異なるそうです。

2022年、6/09追記
銀線と表記していましたが
7N agとは「7N AG = 7N OCC core + Ag plated and coating」とのことでした。7N agなんてものは存在しないので、銀線に色々コーティングして7Nだーって言っているものだと思っていましたが、そもそも7NのOCCだったようです。大変失礼しました。

販売サイトはこちら メーカーのtwitterはこちら 

同社はTwitterで国内代理店の飯田ピアノへの暴露を初めたことで話題になっているメーカーですね。正直「自分の国内代理店に不満があるとはいえ暴露なんて」と思うところがある人も多いと思うのですが、何せ相手が相手で内容もなかなかに酷かったので個人的には断然STE Cableの肩を持ちますね。そんな感じでDMを貰ってから色々話を聞いていたら少し仲良くなってレビュー書いてくれーって話になった感じの流れです。(苦笑)

あと、せっかくなのでついでに書きますけど、このメーカーからのレビュー依頼でレビューを書いているブログで「ケーブルで音は変わらない」と主張しておいてレビュー依頼を受けて「やっぱりケーブルで音は変わらない」と言わんばかりのクソみたいなレビュー書いているところがありますけど、恥を知れと言いたいです。ケーブルで音が変わらないという主張は大いに結構ですが、そんな主張しながらケーブルメーカーからの依頼なんて受けるんじゃねぇよと(どこかは察してください)

さーて、出だしから私のブログらしいキナ臭い雰囲気を醸し出しましたが、ここから詳細のレビューに入っていきますw


注目ポイント
7N AG(7N OCC core + Ag plated and coating)を使用し、銀と金のコーディングが施されている。
→銀メッキコーティングはよくありますが、金と銀両方ってのは割と珍しいかも
・4.4mmプラグにはチタンのハウジングを採用
→プラグカバーの部分がチタンというのも珍しいですね、流石高いケーブルなだけあって色々高い素材が使われてます。

良い点
・音はかなり良い。銀線(銀コート線)というとシャープで少し音がキツめに出る製品が多い印象だが、このケーブルはむしろ少しゆったりとした音場の広い音で、A8000のような少し神経質な音のイヤホンに楽しく聴けるスパイスを加えてくれる感じ。
・非常に取り回しが良い。5万以上のケーブルというと大抵硬かったり、太かったりで使い勝手が悪いものが多いが、16芯でありながら細く非常に柔らかな素材で使いやすい。
・見た目がカッコいい、分岐前までの布巻きケーブルは賛否が分かれそうだが、個人的にはタッチノイズも少なく見た目的にも満足度が高い
悪い点
・強いていうなら6万円以上と高価であること(良いものがある程度高いのは仕方ないが)
・中低域に少し厚みが増すことが多い印象なので、低音が元々多いイヤホンだと低音過多になりやすいかも
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1、少し広がりが付加され、中低域に独特の味のある音。良い意味で音楽的な味付けのある音で、線の細い音のイヤホンと合わせると絶妙な塩梅になる。
音の傾向は少し暖色系かなと思います。銀線銀コート線)なので非常にシャープな冷たい音を鳴らすかなぁと予想していたのですが、むしろ真逆の音で少し驚きました。暖色と言っても変にクセの強い音ではなく、自然に音場を広めに形成してくれて、寒色系のサッパリとした線の細い音のイヤホンなんかと合わせると、絶妙に楽しく聴ける音楽的な楽しい鳴り方をしてくれるようになります。個人的にこの音の傾向はFinal A8000と非常に相性が良く、全体的にかなりシャープで鋭利な音を鳴らすA8000にこのAg W16を使うと、適度に音場の広がりや中低域の厚みが付加される印象で非常に聴いていて楽しい音になります。イヤホンのケーブルなんて言うのは単体の音というよりは、イヤホンとの相性がほぼ全てだとは思うのですが、とりあえず私の聴いた印象としてはFinal A8000×STE Cable  Ag W16の相性はかなり良さそうで気にいりました。
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2、非常に取り回しの良い柔らかくしなやかな素材で構成されており、タッチノイズも少なく使い勝手がかなり良い。
実は私も何気に結構な数のイヤホンケーブルを持っています。でも実際に普段使いで使用しているケーブルはごくわずかです。何故かというと、大抵音質は良くなるものの、それ以上に取り回しの悪さが気になって「良い音になる半面、使い勝手が悪いから使用頻度が下がる」なんて本末転倒なことになり、付属のケーブルに戻したり、取り回しの良いケーブルに交換したりしてしまいます。
この「取り回し」と「音質」の両方が良いケーブルというのは意外と少なく、特に5万を超すような高級価格帯のケーブルは、やっぱり見た目のインパクトも求めるせいか、どうもやたら太い線材を使ったり、硬くタッチノイズの酷いケーブルが多い印象があるんですよね。その中で、このSTE Cable  Ag W16は非常にしなやかで、使い勝手としては一般的な付属ケーブル類と同レベルの、非常に使い勝手の良いケーブルになっています。個人的に使い勝手が良く、音も良いケーブルとして「Estron SuperBaX」をよく利用しているのですが、こちらは良くも悪くも結構神経質な硬質な音を鳴らす印象があるので、少しゆったりとした音を奏でてくれるSTE Cable  Ag W16は使い分けとしてかなり良さそうです。
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3、色々なイヤホンを繋いでの相性比較
イヤホンケーブルというのは、単体での良し悪しというよりは、イヤホンとの相性次第の面がかなり強いと思っていますので、私の手持ちイヤホンをとっかえひっかえ付け替えて試聴した簡単なレポを載せておきます。あくまで私見に基づくものですのでご了承ください。
相性の良く感じたイヤホン
Final A8000・・・適度に中低域に厚みが増し、音の自然な広がりの気持ち良い音を鳴らす。A8000の少し神経質な部分を補っていくれる印象。
Fiio FD7・・・音の解像度はそのままに少し広が強まる。このケーブルに繋げることで対応できる音楽のジャンルが広がりそうな印象
SE846・・・A8000ほど音の広がりは付加される印象は無いが、中低域の厚みが増して力感の強い音になる。846のタイトな音が好きな人にはむしろ合わないかもだが、個人的にはアリ。
Final B2・・・適度に広がりが付加される印象で、それでいて全体的な音の分離はそのまま維持されるので非常に楽しく聴けるバランスになる。
UE900・・・中低域の密度感が高くなる印象で、全体的な音の解像度が上がる印象で良い。
比較的相性の悪く感じたイヤホン
Campfire ATLAS・・・中低域の厚みが増すので、元から低域が強いバランスが少しやりすぎ感のある音になる。これはこれで面白い音だとは思うが、流石にちょっとやりすぎかな
Final Make1(音質初期状態から無調整)・・・少しボーカルが上ずった音になって微妙
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4、非常に取り回しが良く、神経質な音のイヤホンに適度なスパイスを加えてくれる非常に使い勝手の良いケーブル。
おススメ度はケーブルの場合はイヤホンとの相性の部分がかなり強いのもあり点数化はしていませんが、個人的には結構気に入ったケーブルになります。特にFinal A8000のような少し神経質な鳴り方をするイヤホンと相性が良く、中低域に適度な厚みを持たせ、非常に楽しく聴ける絶妙な音のスパイスを加えてくれる印象で気にいりました。(元々の神経質な鳴り方も好きなんですけどね)
こういう「音質」と「使い勝手の良さ」を両立した高級ケーブルは何気に貴重だと思います。是非ケーブル選択の際に候補に入れて欲しい優秀なケーブルです。