

LOXJIE P20という現在10,799円で販売されている、真空管搭載ヘッドホンアンプのレビューです。LOXJIEという名前になっていますが以前レビューしたSabaj PHA3と同じメーカーとのこです、ブランド名変えたのかな?約1万円という価格でありながら、4pin XLRヘッドホン出力、RCAとXLR入力があり、それらをきちんと電子スイッチで切り替え可能と、非常に多機能な製品となっています。
販売サイトはこちら Sabaj PHA3のレビューはこちら
良い点
・10,799円という低価格でありながら、入力切替、出力切替を電子スイッチにて切替可能、音量の液晶表示等、非常に多機能でかなり凝った製品である。
・フルバランス構成
・音は価格からは考えられないほど優秀。非常に高解像度な抜けの見通しの良い音で、真空管アンプにありがちなゆったりした音とは違うが、間違いなくこの価格帯でトップクラスに優秀な実力であると断言できる。
・駆動力が高くHIFIMAN ANANDAでも不満無く聴ける。
・・ボリュームにJRCのNJW1195という電子ボリュームを採用しており、真空管アンプにありがちなギャングエラーやガリノイズなどが皆無で使いやすい
・真空管はソケット式で交換可能となっており、標準では6N3の北京印菅が付いている。
悪い点
・真空管は下部から紫LEDで照らされているため、真空管本来の淡い光の情緒は楽しめない

1、音質は非常に優秀。非常に解像度が高く、スッキリとした伸びやかな音を鳴らす。
音質はかなり良いです。Sabaj PHA3も価格の割にはかなり健闘している製品だと思っていますが、このLOXJIE P20は価格差はそこまで大きくないのに「格が違う」と言えるくらいに質の高い音を鳴らしてくれます。
音質傾向は非常にスッキリと伸びやかな高解像度な音であり、真空管アンプでイメージされやすい「ゆったりした音」「厚みのある音」みたいなものを想像して買うと方向の違いに戸惑うかもしれませんが、非常に質が高い癖の少ない高解像度な音に、真空管の味である音の伸びやかさ、少しの響き感がアクセントとして絶妙に加わり、文句なしに素晴らしいと言えるクオリティの音を奏でてくれます。この音のヘッドホンアンプが1万円程度で買えるっていうんだから良い時代になりましたね。しかも真空管を変えられるので、真空管の交換で更に音質向上も狙えますしね。でも正直、初期状態の北京印菅の時点で文句なしに良い音を鳴らしてくれますので、無理して変えることは無いと思います。

2、駆動力が高く、高級ヘッドホンの駆動にも不足を感じない。
このアンプは音質面でまず驚かされましたが、いくつかのヘッドホンを試してみて駆動力の高さにも驚かされました。正直1万円近辺のヘッドホンアンプは音質的にも、駆動力的にも10万円を超える高級ヘッドホンを試す気にならない製品が多いのですが、LOXJIE P20はHD820、HIFIMAN ANANDA等のヘッドホンを鳴らしても、解像度や駆動力で不満に思うところがなく、出音があまりに普通に好印象な音が出ているので何だか少し納得いかない気分です(笑)
少し意地悪をして色々と鳴らしにくいヘッドホンを繋いでみたところ、Final D8000やHIFIMAN ANANDAは非常に高解像度な音で音のレンジも問題なく〇、HIFIMAN HE-500やLCD-3は低音が不足して軽い音になり△という結果でした。平面駆動のものでも比較的鳴らしやすい製品であれば問題なく駆動出来るようです。


3、入出力の電子スイッチでの切替や電子ボリューム、液晶での音量表示などかなり凝った造りが為されている。
「約1万円で買える、フルバランス構成の真空管ヘッドホンアンプ」というだけでも、かなりお買い得感がある売り文句になるのですが、このLOXJIE P20はしっかりと細部までよく造られており、入力、出力をボリュームをクリックすることで変更ができたり、ボリュームが電子ボリュームになっており音量もちゃんと画面表示されたりと、かなり凝った造りのアンプになっています。正直この価格でこんなに凝らなくても良かったんじゃないか?と思えるほどのクオリティで、触れば触るほど関心してしまいますw 「真空管アンプなのに電子制御が多くて味気ない」と思われる方も居るかもしれませんが、電子ボリュームのおかげでギャングエラーやガリノイズは無縁で、音量の調節幅も細かく、音質も非常にクオリティが高く「真空管アンプ」という枠に囚われず「低価格でなるべく優秀なヘッドホンアンプを作ろうと思った結果こうなった」物だと思って検討して頂けたらと思います。
1点だけ難点は、真空管の下部が紫LEDで光っており、真空管本来の味のある色合いが楽しめないことですね。LEDで真空管を光らせる製品は中華系の真空管アンプに多いのですが、個人的にはここは非常に勿体ないと思います。

4、文句なしにオススメ出来る非常にクオリティの高いアンプ
結構、お世辞抜きに一聴して驚いたくらいに、クオリティの高い音を鳴らしてくれるアンプです。非常に解像度の高いスッキリとした音で、駆動力も高く、細かい造りも非常に凝っていると、聴けば聴くほど、触れば触るほど「よーこんなアンプ1万で売るな」と感心してしまいますw
音的には結構現代的な癖の少ない高解像度系の音なので、真空管アンプにありがちな、ゆったりとした余韻を強調した音の物を探されているのであれば候補から外して良いですが、真空管の高級スピーカーアンプとかは似たような高解像度な癖の少ない音を鳴らしている物が多いのと同じで、このアンプもそういった「適度に真空管の味を出す」という非常に美味い音造りをした、どんなジャンルにも適応できるレベルの高いアンプであると言えるでしょう。
安くて良い真空管ヘッドホンアンプが欲しい人だけでなく、純粋に安価でなるべく良いヘッドホンアンプが欲しい人にも文句なしに勧められる逸品です。