

Sabaj PHA3という据え置き真空管ヘッドホンアンプのレビューです。PHA3という型番だとSONYのPHA3があるのでポータブルにも使えるような勘違いをしそうですが、こちらは完全に据え置きのヘッドホンアンプになります。価格は現在Amazonにて6199円にて販売されています。
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最初に良い点と悪い点を簡単にまとめておきます。
良い点
・6199円という安価でありながら、きちんと真空管の音を楽しめる
・真空管の温め時間のために電源を入れてから10秒ほどは音が出ないと、安価でありながら細かい気配りがある。
・真空管はソケット式になっており交換可能(標準は6J9の中国管)
・入力はRCAとステレオミニの2系統があり、据え置きアンプでありながらポターブル製品との組み合わせもしやすい
悪い点
・真空管は下部から赤色LEDで照らされているため、真空管本来の淡い光の情緒は楽しめない(たまにある青色のLED入ってる物とかよりは全然いいが)
・真空管アンプの大抵がそうなのだが、解像度はどうしても多少下がる
ではここからは詳細なレポを書いていきます。

1、音質は真空管らしい暖かみのあるゆったりとした音でなかなか良い。
音質はなかなか良いです。真空管アンプで全体的に音がゆったりとする傾向の製品なので、どうしても音の解像度は多少下がるのですが、真空管らしい中、低音域に厚みがあり余韻の気持ちいい、ゆったりと聴き入りたくなるような優しい音を奏でてくれます。
低価格の真空管アンプというと結構「偽装真空管アンプ」というものがあり、スピーカーアンプでも真空管は光っているだけで実際はただのデジタルアンプだったというケースもあるのですが、この製品はきちんと真空管を叩くとマイクロフォニックノイズという「カーン」という音が乗り、真空管を外した状態では音の出ない、真っ当な真空管の音を楽しめるアンプですので安心して使えます。

3、真空管の暖め時間のため電源を入れてから10秒ほどは音が出ない等、低価格ながら真っ当な真空管アンプ。ただ赤色LEDの演出は個人的には過剰。
真空管は暖まるのに時間がかかるため、電源を入れてから数秒は音が歪んでしまいます。そんなことは気にせず電源を入れた瞬間から歪んだ音を出している真空管アンプも多い中、このアンプは電源投入後10秒ほどは電源LEDが点滅し音も鳴らないようになっており非常に関心しました。1万円を切る真空管アンプでこういった気の利いた仕様の真空管アンプを出してくるのは非常に印象がいいです。
ただ、写真にもあるように真空管は下部から赤色のLEDで照らされているため、本来の真空管の淡い趣のある光を楽しみたい人には演出過剰となってしまいます。大抵の低価格な真空管アンプはLEDの演出があり、物によっては青LEDと真空管とは全く関係ない色で照らす物もあり、真空管の光だけでも十分美しいだけに少し勿体なさを感じます。

3、駆動力はそれなり。鳴らしにくいヘッドホンは無理だがMDR-Z7は意外と不満の無い音を鳴らしてくれた。
駆動力はそれなりです。同価格帯の真空管以外のヘッドホンアンプと比べると流石に劣ってしまうと思うのですが、予想していたよりは駆動力はある印象で手持ちのMDR-Z7で試聴してみたところ、低音域の張りはもう少し駆動力が必要なのかな?という印象はあるものの、広がりのある包まれるような暖かみのある音を鳴らしてくれて好印象でした。正直1万以下の真空管ヘッドホンアンプでこれだけ真空管らしさを楽しめるというだけで非常に貴重な存在かなと思います。

4、真空管を交換して音質の変化を楽しむことが可能。(6J9真空管)
真空管の楽しみの一つは何といっても真空管を交換しての音の傾向を変えられることです。こちらのアンプも低価格でありながら真空管はソケット式になっており簡単に交換することが出来ますので6J9と互換性のある真空管を色々と付け替えることが出来ます。真空管は安いものから高いものまで様々ですが、意外と高ければ良いというものでもなく安価で1本数百円で買った真空管がやたら音が良いという事も大いにあるジャンルですので、標準の中国管の音も趣があって良いのですが、色々な真空管の音の可能性を探ってみるのも楽しいかなと思います。

5、細かいところまで気が利く真面目な真空管ヘッドホンアンプ
低価格真空管ヘッドホンアンプですが、きちんと真空管の暖め時間が考慮されていたり、RCAとステレオミニ入力があるためDAPと繋いだりしやすかったりと、意外なほど丁寧に考えて作られた真空管アンプだなという印象でした。流石に高級な真空管ヘッドホンアンプと比べたらそれなりの差はありますが「真空管の音ってどんな音なんだろう?」と興味を持った人に真空管の良さを感じてもらうための入門機としては十分過ぎる良さを持った製品だと思います。
是非、真空管の音に関心のある方や、ゆくゆくは真空管の交換まで視野に入れてドップリ真空管を楽しみたい方の最初の1台として是非検討してほしい製品です。こういう言い方は適切では無いかもしれませんが、本当に意外なくらい真面目に作られた真空管ヘッドホンアンプだと思いますw