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LEARのLHF-AE1D Tiです。このダイナミック1発でドライバにチタン振動版を使用した製品になります。今回はAE1Dと同様に低音の量が調整できたり、ノズルが交換出来たりと色々遊び心のある製品です。価格はまだ正式には決まっていないようですが、LHF-AE1Dより少し高くなる程度で済むのではないかなと思います。LHF-AE1Dのレビューはこちら メーカーサイトはこちら In-Canal Earbuds Rankingこちら

LHF-AE1DとLHF-AE1D Tiの違いの特徴を最初に書いておきます。 (以下AE1D、AE1D Tiと略します)
・付属のケースが金属からプラスチックに変更
・全体的に筐体の造りがAE1D Tiのほうが良くなっている。
・AE1Dのほうが中音域に厚みがあり、AE1D Tiのほうが高音域にな鮮やさがあり明瞭な音。
・AE1D Tiのほうが低音量は少なく、低音調整ネジが同じ位置でもAE1D Tiのほうが低音は少ない。それに伴い、AE1D Tiは低音量をMAXにしても破綻せずに聴ける(AE1Dは低音をMAXにすると少し破綻気味だった)
・音量はAE1D Tiのほうが取りやすく、AE1Dより1割くらい小さいボリュームで聴ける

では、ここからはいつも通りのレビューです。
特徴等
・チタン振動版のダイナミックドライバ1発のユニバーサルイヤホン
・ステムが交換出来るようになっていて、カスタムイヤーピースに付け替えることが可能
・ケーブルは着脱可能、形状は2ピン
・IE80等のような低音調整ノブが付いており、低音の調整幅は9段階とかなり広い
・低音調整ノブの音の変化がかなり大きく、少しの微調整でも音が変わってしまうため左右のバランスを合わせるのに少し慣れが必要
・装着感はなかなか良い、色々な種類のイヤーピースが付属しているのでどれか1つは自分の耳に合うものがあると思う。
・ケーブルは見た目よりずっと柔らかくタッチノイズ等もあまり無く快適
・遮音性はなかなか良い、本体を見回してみてもかなり小さな音抜け穴が2つあるだけなので音漏れも特に心配する必要は無いと感じる。
・筐体の造りはAE1Dより大分良くなっている。
・付属のケースはAE1Dは金属ケースだったが、AE1D Tiはプラスチックの物に変更されている。金属ケースはかなり重みがあったので、持ち運びをするにはむしろ良いかもしれない。

音質評価 □□□□□
・音はかなり良い。AE1Dもかなり良い製品であったが、このAE1D Tiは今のところそれ以上に好みの音。
・今回は自分の聴感上一番好みであった、低音低音調整ノブを最大から-1の「8」状態での音をメインに書く。9段階あるうち全てを書くのは厳しいため、7,8,9状態での音を分けて記載する。 
低音調整ノブ7状態での音

・音の大まかな印象は「全体的にハイ上がり、高音域は綺麗によく出ているのだが、低音域の力感の無さが気になる。」
・高音域はクッキリハッキリとした音が出る。音の伸びも良いため、それなりに刺激的な音を出しているものの、耳につく感じがなく、とても楽しい音が聴ける。
・中音域は特に凹むことも無く鳴る
・低音域はかなり軽い音が鳴る。何だかバスドラムの音がバスドラムっぽく聴こえないくらい軽い音。軽快な音ではあるが、流石に全体的に軽すぎるかなという印象。
・正直7の状態はあまりオススメしない。
高音域□□□□□□
中音域□□□□
低音域□□□□

低音調整ノブ8状態での音
音の大まかな印象は「とても軽快で明瞭な高音域が特徴的な音、全体的にスッキリとした明るい音でロック等の音源ととしても相性が良い。また低音域もとても分離が良く軽快なスネアの音を鳴らしてくれるため、スラッシュメタル等の音源の疾走感をとても良く表現してくれる。」
音の傾向は低音調整ノブ「8」の状態が一番フラットに感じる。
高音域はとても軽快な明るい音を鳴らしてくれる。基本的に音の質自体は7と同じなのだが、8のほうがちゃんと低音も主張してくるだけに、高音域の分離の良さが引き立つ印象がある。チタン振動版というと、どうもドンシャリで高音域のキツイ音わ鳴らす事が多かったが、この機種の高音域はとても自然な音で、とても明瞭でありながら音の伸びの良さ等から耳につく印象が無く、聞き疲れせず鮮やかな高音域を聴く事が出来る。
・中音域は7の時より少し広がりが出る、中音域に関しては7の時よりこちらのほうが実体感が出てくる。この点はAE1Dと同じ。
・低音域は7の時よりかなり量感が増える、7の時は迫力が無くかったドラムがしっかりと芯のある音で鳴ってくれる。音の分離は大変良く、テクニカルデスメタル音源でも全く問題無く分離をしてくれるのだが、この機種は分離するだけでなく低音域の太さ、厚みをしっかりと再現しつつも余裕をもってテクニカルデスメタルのドラムを分離してくれる。ただ分離が良いだけの機種は音を硬くし過ぎてしまい、分離は良いものの低音域の迫力が無い、低音の沈み込み感が無い等といった事が多いため、ここは大変素晴らしい。(CryptopsyのShag Harbour's Visitorsで確認)
・合うジャンルはロック、テクニカルデスメタル、スラッシュメタル等だろうか。基本的に何でも不満無く鳴らしてくれるタイプのイヤホンだが、しっかりと低音域の厚みを保ったままテクニカルデスメタルの音源をしっかり分離してくれるイヤホンはかなり珍しいと感じる。
・合わないジャンルは強いて言うならオーケストラ音源はもう少し音の抜けが欲しいと感じる場面もあるかもしれない。しかし、あくまで強いて言うならのレベルであり、かなり分離が良く、尚且つ低音域の膨らみ等はしっかりと表現してくれる万能さなので相性の悪い音源という物は殆ど無いと思われる。
高音域□□□□
中音域□□□■
低音域□□□□

低音調整ノブ9(最大)状態での音
音の大まかな印象は「かなり厚みのある低音が押し寄せてくる。膨らみも増した低音域だが、意外な程に分離は悪くなくデスメタル等の音源はしっかりと分離してくれる。ライブハウス等の音のイメージに近い、少し圧力まで感じる低音域がとても楽しい。」
・かなり低音機は強いが、しっかりと破綻しないで楽しく聴けるバランスで鳴ってくれる。

・高音域は質は変わらないのだが少し曇り感が出る。しかし低音量に圧倒はされるものの高音域の鮮やかさは変わらず、しっかりとドラムのシンバル音等は明瞭に鳴らしてくれるのだが、低音域が多い場面だと少し埋もれてしまう印象もある。
・中音域は8の時と音の質はあまり印象は変わらない、ただし物凄い低音の量なため少し遠いところで鳴っている感覚になる。
・低音域はかなりの厚みのある音が鳴る。低音の質も変わり、全体的に8の時よりも膨らみのある低音域が鳴る。テクニカルデスメタル音源等は流石に音が被る印象があるが、Cannibal corpse等のデスメタル音源はしっかりと音を分離してくれて、中規模なライブハウス等で感じられるような低音の圧力を感じながらデスメタル音源を聴くことが出来る。音の沈み込みは良いため、ジャズ等の音源とも結構相性は良く感じる。
・合うジャンルはデスメタル、ハードロック等だろうか、デスメタルのような音源で低音の音圧に圧倒されたい時にうってつけに思う。
・合わないジャンルはクラシック、スラッシュメタル等、全体的に低音の量に圧倒されるため、高音域の鮮やかさ等を求めたり疾走感を求める音源とは相性が悪い。
高音域□□□□
中音域□□□■
低音域□□□□□■

オススメ度□□□□■
・音はかなり良く、AE1Dよりも良いと思える点も多く、低音調整ノブやノズル交換等とイヤホン好きな人達が興味をそそられそうなギミックもあったり、とても楽しめるイヤホンである。
・相変わらず左右の低音量を合わせるのに苦労するので、そこだけは少し不満。
NS-U1といい、このAE1D Tiといい、かなり独特なイヤホンを多く作ってくるメーカーだがイロモノではなく、ちゃんと完成度の高い物に仕上げてくる。本当に面白いメーカーだと思う。
・中音域の厚みが減ってしまった点は少し残念だが、その代わり高音域の鮮やかさはかなり増しており、明瞭な高音域が好きな人やスッキリとした軽快な音が好きな人には是非お勧めしたいイヤホン。