
VEのMONK、ASURA、ZENの3機種が揃いましたので、比較レビューを書いて行こうと思います。
MONK、ASURAもこちらの直販からも購入可能です。サイトはこちら
MONK | ASURA | ZEN | |
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価格 | 9ドル(5+送料) | 78ドル | 148ドル |
インピーダンス | 32Ω | 150Ω | 320Ω |
再生周波数帯 | 18-22500Hz | 17-23000Hz | 8-25000Hz |

VE MONK
VEインナーイヤーのエントリー機。価格は5ドル+送料で約9ドルと安価ながら、とても解像度の高い、クッキリ、ハッキリとした音が再生される。良くも悪くも中低域の情報量はASURAやZENと比較すると流石に大分落ちる印象はあるが、高音域の鮮やかさは低価格ながら両機に対抗できるほどのポテンシャルを持つ。

VE ASURA
VEのインナーイヤーのミドルレンジ機。価格は78ドル。音はスッキリとした音で高音域の抜けがとても良く、3機の中で一番自然な音であると感じる。全体的な解像度はMONKより少し高いかな?程度の物なのだが、音の抜け、伸びの良さから比較すると大分こちらのほうが聴きやすい音になっている。また音場はとても自然に広がりクラシック等を聴くのには一番違和感の少ない音なように感じる。全体的にVE MONKの正統進化な音に感じ、VE MONKのような音の傾向を期待して、そこからのランクアップとして考えるならフラグシップのZENより、こちらのASURAを選んだほうが良いかもしれない。

VE ZEN
VEインナーイヤーのフラグシップ機。価格は148ドル。 3機種の中でこのZENだけは異色の音。音は中低域の厚みが印象的な少し低音寄りの音。高音域の鮮やかさ等はASURAより少し劣るような印象があるが、中低域の深み、濃厚さは他のイヤホンではこんな音は絶対出ないだろうと思えるほど唯一無二の物である。320Ωというインピーダンスのせいもあってか、かなりの駆動力が必要とされ、駆動力が足りていないと高音域がかなり曇ったように感じるが、QuestyleのQP1R等駆動力の高い物で鳴らすと、高音域の曇りはほぼなくなり、濃厚かつとても質の良い中低域の魅力を感じる事ができる。またボーカル帯域の生々しさは特筆物で、基本的にボーカル帯域をあまり重視しない私でも一聴して「これは凄い」と思えるほどの実力がある。MONKやZENとは明らかに方向の違う音で、独特な音なため3機種の中で一番賛否が分かれる機種であるが、3機種の中で一番 「この機種にしか出せない」と思える唯一無二の音を持ったイヤホン。

3機種の帯域別比較
高音域の量感 ASURA>MONK>ZEN
高音域はASURAが一番目立つ、MONKが解像度が高く鮮やかな音が出ているものの、少しキツめで悪く言えば少しピーキーな音に対し、ASURAはMONKの解像度はそのままに音の抜けと音の伸びの良さを付加し余裕のある音になっている印象。ZENは3機種の中で一番高音域は目立たないのだが不足しているわけではなく、音の鮮やかさ、抜けの良さはASURAに近いくらいあり、聞いていてなかなか気持ちが良い。
中音域の量感 ZEN>ASURA>MONK
中音域はZENが一番目立つ。ZENの中音域はとても立体的で生々しい音を鳴らす。ボーカルに関しては特筆物でここまでボーカルの声を濃密かつ立体的に鳴らしてくれる機種はそう無いのではないかと感じる。ASURAの中音域はZENよりアッサリとしている。ZENのような生々しい中音域は鳴らないが、とても音の抜けが良いため、女性のハイトーンボーカル等は聴いていてとても気持ち良い。MONKの中音域は際立つような特徴は無いのだが、癖が無くオールマイティに聴ける音を鳴らす。MONKも3機種の中では一番目立たないというだけで、中音域が凹んでいるというわけではない。
低音域の量感 ZEN>MONK>ASURA
低音域はZENが一番目立つ。ZENの低音域はとても濃密な音を鳴らす。音自体はテクニカルデスメタル等も問題無いほど分離が良いのに、少し広がりのある低音域で高級スピーカー等で感じられるような低音域の空気感まで感じられる。MONKはZENに対してとてもクッキリとしたソリッドな音を鳴らす、テクニカルデスメタル等でも問題無いほど分離が良く、またドラムの音も少し際立たせるようなキレがあり、スラッシュメタル等ではかなり気持ちの良い音を鳴らしてくれる。ASURAの低音域はMONKのソリッドな低音域に少し音の広がりを付加して余裕を持たせたような音がなる。MONKが良くも悪くもドラムの音を際立たせるくらいのソリッドな音を出していたのに対し、ASURAはあくまでタイトに淡々とした音を鳴らしてくれる印象がある。
まとめ
MONKは10ドル以下という価格ながら、カナルイヤホンをメインに使っている人に「インナーイヤーもいいじゃん」と思わせられるくらいの実力ある機種。ASURAはそのMONKの音を正統進化させたような音で、高音域の抜けや伸びの良さはとても聴いていて気持ちのいい音である。そしてフラグシップのZENは3機の中で異質な中低域の濃厚さが魅力で、とても濃密かつ生々しい中低域が魅力的な唯一無二の音である。
MONKやASURAは今までの文章を読んでいただければ良さそうな感じは伝わったのではないかなと思うが、ZENは「高音域は少な目で中低域が濃密?独特な音とも書いてあるし、私には合わなそう」とか思ってしまった人も多いのではないかなと思う。正直私もどちらかと言えば低音域より高音域の鮮やかさを重視するタイプなため、こういった気持ちはとてもわかる。しかし、このZENの中低域の生々しさや濃密さは、価格を抜きにこの機種じゃなくては出ない音だろうと思えるほどの音である。VEのインナーイヤーはどれもとても完成度が高いが、ZENほど替えの効かない音は他に無いだろう。是非高音域を重視されるような方も、このある種の頂点であると思えるZENの音を体感してほしい。