
Final ZE8000という現在36,800円にて販売されているTWSイヤホンのレビューです。先に言っておきますが、私はこのイヤホンに対して試聴会で聴いたときにTwitterでかなり否定的な意見を言っています。なるべくフラットに評価をしようとは思いますが、その酷評した時にやたらと騒がれたことも含めて先入観はかなり入っている物と思って見て貰えたらと思います。
このイヤホンのためにSnapdragon Soundに対応したXperia 1Ⅳまで買って評価し直してるんだから許してくれよな!w
販売サイトはこちら

良い点
・独特な広がりのある音像の大きな音で、独特な面白さがある音。
・TWSイヤホンの中で恐らくトップクラスの音場の広さ。
・中低音域の厚みがあり、良い意味でビンテージのスピーカーを聴いているような暖かみのある音。
・一般的なロック音源等は違和感もある音場なのだが、オーケストラ音源だけは広い音場のおかげでイヤホンらしからぬスケール感の大きな音で聴ける(自然な音とは思わないが)。オーケストラを聴くなら唯一無二の魅力があるかも?
・ゆったりとした音源だと唯一無二の魅力のある音を鳴らす。相性の良い音源だと確かにとても面白い。
悪い点
・この音像の大きい音を「音の輪郭を強調していない音」と捉えるか「音の輪郭をボヤけさせている」と捉えるかで大きく評価が変わるイヤホン。個人的には完全に後者。
・恐らく一般的に「8Kサウンド」から連想される音とは真逆すぎる音(少なくとも私からすれば対局すぎる音)
・装着感が慣れが必要で、イヤーピースのサイズ選びや付け方もとてもシビア。
・装着感がシビアなのに、イヤホンの棒の部分にタッチセンサーがあるので装着時に誤作動をする。1タッチでは反応しないような設定もできない。


音質評価 76点
1、音は相当独特で音源も非常に選ぶが合う音源では唯一無二の音を鳴らす。とにかく音像がやたら大きい拡散する音なのがかなり独特、良い意味でビンテージスピーカーで聴いてるようなオールドライクサウンド。
音はかなり独特ですが悪くはありません。音の傾向としては中、低音域寄りで、音場は広いです。まず前提として音数の多い音源は基本的に合いません。正直メタル系の音源は基本的に壊滅的なレベルで合わないです。また、低音域の量感が強い音源もあまり合わないです。音の傾向として中、低音域が強めで、しかもその音も音像がかなり大きく分離せずに被ってしまいやすいので、低音域の量感のある音源は破綻しやすいです。ミドルテンポのロック、POPS、歌謡曲、オーケストラ等の音源はかなり独特な音ではあるものの魅力のある音像の大きな厚みのある音で鳴ってくれます。この中低音域の厚みと、音像の妙に大きい音が、良くも悪くもビンテージのハイエンドではなく、大衆向け価格で販売されていた製品群の音に近い印象があり、この独特な厚みのある音に魅力を感じる人も一定層は要るかなと思いますが、本当「とにかく独特」ですし、これが高解像度の自然な音と言われると個人的には相当首を傾げてしますのが本音です。



2、装着感はかなりシビア。個人的には3枚目のように同社のTWS用のイヤピを付けたほうが付けやすい。装着がシビアなのにイヤホンの棒の部分にタッチセンサーがあるので誤作動もしやすく使いにくい。
装着はやたらシビアです。イヤーピースも正直全サイズ合わない人も多分居ると思います。何故かというとイヤーピースが傘の部分だけじゃなく筐体の部分まで覆う構造になっていて、この筐体を覆う部分とサイズが同じで結構大き目であるからです。個人的にこの筐体を覆う部分が大き目に感じるので3枚目のように同社のTWS用の別のイヤピをつけて、本来覆う部分を剥き出しにして使ったほうが装着感は良いですし、このほうが高音域がスッキリとした音なります。ただ、標準のイヤピでないと、このイヤホン特有の音像の大きさがあまり生かされない印象もあるので難儀。また、装着がかなりシビアであるのにもかかわらず、イヤホンの棒の部分にタッチセンサーが内蔵されていて、1タッチでは動作しないような設定も出来ないので、イヤホンを取り出すときに再生が始まってしまったり色々と誤作動は当たり前におきます。これはもう少しチェックしている時に気が付かなかったんか?と正直思いました(苦笑)

3、この音像の大きなゆったりとした音を「音の輪郭を強調していない音」と捉えるか「音の輪郭をボヤけさせている音」と捉えるかで大きく評価が変わる印象。個人的には圧倒的に後者。
このイヤホンはメーカーが言うには8Kサウンドと銘を打つくらいの高解像度で、かつ音の輪郭を強調していない音らしいのですが、個人的には「そうかぁ?」と思うのが本当のところです。
音としては相当音像が大きいです。これはもう手持ちのイヤホンの中で有線イヤホンを含めても一番大きいかもしれないくらいの音像の大きく、とても拡散する広がりのある音を鳴らします。音場が広いだけとかならなら良いのですが、音像自体がかなり大きいため、音の分離が悪くスピード感のある音源はかなり音が被りやすいです。正直これを高解像度と言われると個人的にはかなり首を傾げてしまいます。
せっかくなので今回はBang & OlufsenのBeoplay EXとも聴き比べをしてみましたが、かなり対局な音が鳴ります。Final ZE8000が全体的に音像の大きいゆったりとした暖色系の音を鳴らすのに対して、Beoplay EXはかなりタイトでカッチリとした音を鳴らします。正直Beoplay EXの音が「音の輪郭を強調している音」と言われるのであれば、それはその通りかなと思うところはあります。ただ、Final ZE8000の音が音の輪郭を強調していない音と言われると「いや、ZE8000はむしろボヤけさせすぎでしょ」と言いたくなりますね。個人的には多少音の輪郭が強調されていたとしても、比較してBeoplay EXのほうが自然な解像度の高い音かなーと思います。



おススメ度 70点
4、万人ウケする音ではないが、唯一無二の魅力を持った独特な音の鳴るイヤホン。自然な音を求めるのであれば個人的には勧められないが、これはこれで楽しい音。
このイヤホンで真っ先に思ったことは「これのどこが8Kサウンドやねん」でした(苦笑)そのキャッチコピーの先入観を無視すれば、これはこれで面白い独特な音の鳴るイヤホンだと思えました。正直色々不満は相当あります。一番の不満はイヤーピースで、これは装着がかなりシビアなクセに、装着ポジションを探してグリグリやっているとズレて音抜けのための穴が塞がって音が曇ったりします(1枚目の画像の左側は穴が塞がりかけの状態)それで「時間をかけて評価してほしい」「イヤピがシビアだから厳選してほしい」だの言われてますけど、「そんなもんこんだけ装着がシビアなイヤホン側が悪いだろ」と言いたくなるのが本音です(苦笑)
音像の大きな広がりのある音を探している人、ビンテージスピーカーの大衆機みたいな中、低音域の独特の濃さがあるイヤホンを探している人におススメしたい、唯一無二で独特なイヤホンです。自然さを求めるなら私はおススメしません。