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Acoustune HS1695TI Goldという119,800円ほどで販売されていたダイナミック1発構成イヤホンのレビューです。こちらは国内140台限定(海外での限定数はわかりません)で販売されたイヤホンですが、現在これとほぼ同等品と言われるHS1697TIが発売されています。(聞き比べた感じでは同じとは思えなかったけど)
基本的には同じらしいのですがケーブルが変わっているらしく、自分の聴いた印象としては1697tiのほうが音の輪郭ハッキリしていていて、音の抜けの良さは1695Tiのほうが上という印象でした。

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良い点
・とても伸びやかで自然な音造り
・高音域は明瞭でありながら非常に繊細で、強調感の無いスッキリとした音
・独特のフワッと広がる自然な音場感が楽しい
・Pentagonプラグによるリケーブル対応でMMCXより信頼性が高い(らしい)
悪い点
・筐体の形が独特で耳に合わない人も居る
・Pentagonプラグが現状まだあまり普及していたないためリケーブルの選択肢は少ない。
・それなりに駆動力のある環境で聴かないと低音が不足する。
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特徴等
・ダイナミック一発構成で筐体にはチタンを採用。
・Pentagonプラグでのリケーブル対応、ぱっと見MMCXっぽいが別物のプラグなので注意
・ケーブルはシルバーコート銅線と極細のOFC線とのハイブリッド16芯ケーブル。HS1697TIでは8芯ケーブルになっている。
・装着感は私は問題なくつけられるが、筐体の背面の銀色に大きく飛び出した部分があるため、ここが耳に当たってダメという人もそれなりに居そう
・遮音性は一般的なカナルとしては平均的。高級カナルイヤホンの名機は何故か遮音性が低いものが多いのでここは嬉しい。

音質評価 94点
・音質は文句なしに素晴らしい。12万円という価格であるがその価格も決して高くないと思える満足度の高い実力を持ったイヤホンである。
・音の大まかな印象は「非常に自然な音の広がり方をするイヤホンで、自然な音場で耳の周りに自然と音が鳴っている印象があり、イヤホンで音楽を聴いている感覚を忘れさせる魅力がある。個々の帯域の質感も高く、どんな音源も上手く鳴らしてくれる万能機である。」
・音場は広め、自然でとても聴きやすい音を鳴らしてくれイヤホンで音楽を聴いている感覚を忘れさせる独特の魅力がある。
・高い駆動力を必要とする印象があり、手持ちのShanling UP4では低音域の量感に不満を持った(Mojo+PolyやDX220MAXでは問題無い)
・音のバランスはかなりフラット傾向、厳密には少し高音域が強めか
高音域はスッキリと伸びやかな明瞭な音を鳴らす。明瞭な音になるとどうしてもドラムシンバルの音などシャリつく音が刺さり気味に耳に負担となる印象があるが、このイヤホンは明瞭さを実現しながら音の伸びの良さから忠実な再現をしつつ、音の伸び、抜けの良さから耳への不快感を極限まで少なくした音を実現しているように思う。この音の伸びやかさは生楽器系の音源と相性が良く、オーケストラの弦楽器の伸びやかな余韻などが本当に美しく嫌味の無い音で再生される。
中音域は高音域同様、伸びやかな余韻の美しい音を鳴らす。ボーカル帯域は少し広がりのある音を鳴らすが「これが本来の広がり方だ」と言われているような自然で違和感の無い音を鳴らす。ボーカル帯域の広がりのある音というとどうしてもある程度の演出的さ、味付け感が出てしまうものが多いのだが、このイヤホンからはそれが感じられず、どんな音源でも違和感なく聴くことが出来る。
低音域は力感はあまり無いものの、分離が良くスピード感のある音を鳴らす。特に味付けはあまり感じさせない音で、純粋に音の解像度の高さから分離良く、スピード感のある音を演出してくれる印象。ただし低音域は重低音域までしっかりと再現されてはいるものの、全体的に軽めの音となっており、デスメタル系、EDM系などの重低音域の力感、重みを重視する音源では少し物足りなさを感じる。DX220MAXなどの駆動力の高い環境で聴けばかなり改善はされるのだが、それでも物足りなさを感じることはある。(低価格DAPなどでは結構露骨な低音域不足になりやすい)
・音の分離はかなり良く、過度に音の分離を要求するタイプのテクニカルデスメタル音源も余裕をもって分離して再生してくれた。(CryptopsyのShag Harbour's Visitorにて確認)
・相性の良い音源はオーケストラ、ジャズなどの生楽器系やPOPS、アニソン、パワーメタルなど、全体的に音の伸びやかさが本当に素晴らしいイヤホンなので、生楽器系やボーカルの上手さをしっかりと聴きたくなる音源と相性が良い。
・相性の悪い音源はデスメタル、ゲームサウンド、EDMなど、低音域の力感を重視する音源は聴けないことは無いが少し物足りなさを感じる場面がある。
音のバランス
高音域□□□□
中音域□□□□
低音域□□□■
HS1695ti
オススメ度 96点 
・12万円という価格を高いと感じさせない、非常に良くできたイヤホンである。特に全体的な音の伸びやかで違和感の無い自然な広がりのある音は唯一無二であり「カナルイヤホンって違和感のある音が多くない?」と思っている人にほど試して欲しいイヤホンである。
・ダイナミックドライバを採用したイヤホンの名機の1つである。個人的にはもっと派手な音造りのほうが好みではあるのだが、それでも「この音は素晴らしい」と自信を持って言える素晴らしい実力を持ったイヤホンである。