
ダルマオーディオ Vento Conductor T-1000という現在23,000円で販売されているダイナミック1発構成のイヤホンのレビューです。以前試作機のレビューも書きましたが今回は製品版のレビューになります。
今回から申し訳ないのですが、ご好評頂いていたIn-Canal Earbuds Rankingへの掲載は無しにしようと思います。まだ考え中ですがランキング形式はしばらく休止して、いずれ廃止にしようと思っています。(正直上下関係考えるために、他の機種も引っ張り出して試聴しなおすのとか大変すぎて)
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注目ポイント
・材質を合金からアルミへ変更して軽量化
→試作機と筐体の材質が変わってアルミになりました。音は思ったより大きな変更は無く、少し全体的にサッパリしたかなくらいの印象(筐体の変更だけが理由ではないと思いますが)
・OEM技術メーカーから音のデザインとセンスも兼ね備えたオーディオ技術メーカーへ成長するとともに生まれたフラックシップ製品。
→T-800とかイーサリアルといった、もっと値段の高い製品がありますけれども、このT-1000が現状同社のフラグシップ製品みたいです。ここの決め方はちょっと謎。
良い点
・間違いなくダルマオーディオ製品の中で一番自然でフラットな音でかなり良い。イーサリアルは少し中域寄り、T-800が低音寄りだったのに対し、T-1000は非常にスッキリとしたフラットな傾向。
・フラットなスッキリとした音でありながら、低音域の質感、力感が非常に高い。低音は欲しいところでしっかりと出るタイプで、普段の量感はそこまでではないが、低音の強い場面ではしっかりと存在感を出す。
・筐体が軽く装着感が良い。正直アルミに変えると発表があったときはどうなねかなと思いましたが、非常に質感も良く、綺麗な筐体だと思います。
悪い点
・基本的にサッパリとした音なのでT-800のような濃い音を好む人には合わない。
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音質評価 94点
1、非常にスッキリとした音でありながら、音に変な派手さの無いタイトな音で非常に良い。同社の中で一番フラットでクセの少ないバランスだと思う。
音は価格を考えたらかなり優秀だと思います。イーサリアルやT-800といったもっと高い製品があるにも関わらず、このT-1000をフラグシップと言うだけはあるなと思いますね(イーサリアルの広がり重視なまったり音も良かったけどねw)
音の傾向としてはフラットで非常にスッキリとした音を鳴らします。全体的に少し芯は細いサッパリとした音で、全体的に見通しが非常に良い音になっています。特に高音域の質感は非常に素晴らしく、あまりキラキラとした派手な音を強調するわけではないのですが、非常に自然な伸びやかさのある音で、ハッキリと鮮やかな音を鳴らしつつ耳につかない、この質感はかなりの実力だと思います。ただ、同社のT-800と比べると全体的に線が細めな音で、T-800のような濃い音の傾向が好きな人には合わないイヤホンだとも思いますね。私みたいなある程度タイトな寒色系のイヤホンが好きな人にバチッとハマるタイプのイヤホンだと思います。

音のバランス
高音域 □□□□■
中音域 □□□□
低音域 □□□□
2、高音域はハッキリとした明瞭な音でありながら、伸びが良く耳につかない綺麗な音。中音域はクセが少なく音の広がり等も適度で自然なバランス。低音域はタイトな引き締まった音でありながら、重低音の再現度が高く重みも感じられる質の良さが良い。
音のバランスはフラット傾向、厳密にいえば少し高音域が強めといった印象です。音場は広くも狭くもなくといった印象ですが、全体的に抜けが良い伸びやかな音が鳴るせいか音場の広がり方には爽快感がある印象です。
高音域は明瞭でスッキリとした抜けの良い音を鳴らします。非常に鮮やかな音を鳴らしつつも、抜けやノビの良さのおかげでドラムのシンバルのような耳につく帯域の音も、耳に付かない嫌味の無い音で再生してくれるのがポイントが高いですね。私はRHA CL1とかの結構耳につくタイプの高音域も大好きなのですが、T-1000のような抜けの良い音だと、明瞭さは損なわれないのに聴き疲れはし難いので長時間の鑑賞も問題無いのが好印象です。高音域の伸びやかさは同価格帯では随一かなと勝手に思っています。
中音域はクセの少ない自然な音を鳴らします。「お前中音域は大体クセが無いっていうよな」と思った人もいるかもれしれません、正直その通りです。私は中音域は極端に変な音がしなければ基本クセが少ないと書いているのですが、このイヤホンはその中でも比較的自然さは高めだと思います。音自体は少し線の細めの音だと思うのですが筐体の響きのおかげで絶妙な、自然な広がりのある聴きやすいボーカル帯域を表現していると思います。
低音域はかなりタイトで引き締まった音を鳴らします。タイトな音というと重低音の少ない軽めの低音域を想定する人も少なくないと思うのですがね、このイヤホンの低音域は非常に重低音域の質感が良く、欲しいところでズシンと重みのある音を鳴らしてくれ非常に聴いていて楽しいです。この低音域の質感の良さは、ある程度駆動力のある再生機材に繋ぐと、より際立ちますのである程度の再生機材で鳴らしたほうが良いかもしれません。
相性の良い音源は、基本何でも合いますが、非常にスピード感の出せるタイトな音なので、スラッシュメタルやメロディックスピードメタル、ロックやゲームサウンド等を聴くとこのイヤホンの魅力は感じやすいかなと思います。
相性の悪い音源は、基本的に線の細い音ではあるので、クラブサウンドやEDM等の低音の厚み、膨らみが必要な音源だと少し物足りないかもしれません。

おススメ度 96点
3、非常にスッキリとした抜けの良い音でかなり好印象。2万円付近のイヤホンとしてはトップクラスにおススメしやすい実力を持ったイヤホン。
個人的にはダルマオーディオ製品の中で一番クセの少ない、非常に良い意味で万人ウケする音のイヤホンだと思います。特に高音域の派手にはならないものの、スッキリとしたノビが良く、耳に付くような嫌味がない聴きやすい音はかなり素晴らしいと思います。正直メーカーの販売戦略にはかなり??と思うことがあり、以前少し苦言を書いた社外アドバイザーの件といい、もう少ししっかりしてほしいなと思うところは大いにあるのですが、製品自体は本当に良いものを出してくる印象があり好感を持っています。このT-1000も値段としては同社の中間グレードくらいの製品なのに「フラグシップ」と敢えて言いたくなるくらいの実力は感じられましたし、もう少し普通のオーディオメーカーらしくしてくれていたら、もっと素直に応援できるのになぁと思います、、、w
スッキリとした音が好きだけど、派手な傾向の音は嫌いという人におススメしたい名機です。2万近辺としてはトップクラスの実力機だと思っています。