
Aune S16というメーカー直販699ドルで買えるDACです。220V仕様と110V仕様がありますので、購入時は必ず日本で使える110V仕様にするように言ってから買いましょう。
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こちらのDACの特徴は何と言ってもAK4495Sという旭化成の最上位チップを使用しているところですね、aune M2proやAK380なんかで使用されているチップよりも更に上位のチップです。厳密にはAK4497EQという新型チップが発表されたのでそれが最上位になるのですが、そのチップを使用したDACはまだ無いので現状の最上位DACチップになります。AK4495Sは高級品だとESOTERIC Grandioso D1というペア270万円のモノラルDACにも使用されています。勿論DACチップだけで音が決まる訳ではありませんが、高級品にも採用されているって売り文句皆さん好きじゃないですか?私は好きですw

最初に良い点と悪い点を簡単にまとめておきます。
良い点
・DACチップに旭化成の最上位AK4495Sを使用
・音は期待通りのとても解像度の高い鮮やかな音、Aune M2proの音が気に入っている人は候補に入れて間違いないと思える方向性の音
・デジタル入力のノイズ対策がしっかりされており、外部ノイズアイソレーター等は必要無さそう。(USB入力にはADUM3441というノイズアイソレーター使用し、同軸、光、XLRデジタル、入力にはMURATAのデジタルトランスを使用)
・同軸入力端子は少し高級そうなジャックを使用(見覚えあるジャックなのだが思い出せない、、、)
悪い点
・本体のヘッドホンアンプの音質はあまり期待し過ぎないほうがいい。(音自体は悪くないのだが駆動力が低い)
ではここから詳細なレビューを書いていきます。

1、音質はとても良好、解像度の高さや高音域の鮮やかさが印象的
音はなかなか良いと思います。全体的にとても解像度の高さが印象的な粒立ちの良い音が鳴ります。どうも「解像度の高い」という評価の多い機種は音が際立つ派手な音なだけであったり、低音域の力感が無い ために音がハッキリ聴こえるだけという機種が多いように思いますが、このS16はしっかりと重低音まで再現された重みのある低音域を鳴らしつつテクニカルデスメタルのバスドラムなどの輪郭がクッキリ分かるほどの解像度の高い音になっています。


2、入出力は豊富で同軸端子には高級な物を使用する等細かな拘りが感じられる。
入出力端子は最近のDACらしく豊富です。それだけでなく同軸端子には少し高級そうな物を使用していたり、最初からセラミック管のヒューズが入っていたりと細かい拘りが見られます。

3、ヘッドホン出力は音自体は良好だが駆動力は期待しないほうがいい
ヘッドホン出力はRCAやXLR出力と同様に解像度の高く綺麗な音が鳴ってくれるのですが、残念ながら駆動力は結構低めでDT990PRO等の少し鳴らしにくいヘッドホンで聴くと低音域に軽さが出てたりしてしまいます。ヘッドホン出力のボリュームはデジタルボリュームを採用しているためギャングエラーも無く使い勝手は悪くないのですが、大型ヘッドホンを使おうと思われている方は別途ヘッドホンアンプを用意したほうがいいと思います。

4、デジタルフィルタが8種類選択可能
デジタルフィルタはSlow SD1、2LD1、2 SharpSD1、2 LD1、2から選択可能になっており、DACの真ん中のノブを押すと変更が可能です。レビューの流れ的にはここで「音は凄く変わる」と言いたいところなのですが、私の耳だと「変わったような変わってないような?」くらいの感覚です。ポータブルのDAP等でフィルタを変更するとイコライザかよ!と突っ込みたくなるほどに音が変わる物が多いので、そういった変化を期待すると少し拍子抜けするかもしれませんが、まぁどのフィルタを選んでもちゃんと良い音が鳴ってるのでいいんじゃないかなw
☆IFI Micro iDSD、Nuforce DAC-9との比較☆
単体の音質だけだと分かり難いと思ったので今回はIFI Micro iDSD、Nuforce DAC-9の二機種と比較していきます。比較試聴は最初はスピーカーでやろうとも思ったのですが、音を聴きながらレビューを書きたかったので今回はPioneer N-50→DAC→Tube amp LF-15→Final audio pandoraⅥで行います。
条件としてはなるべく同じになるようにしていますが、機材の性質上電源はAune S16とNuforce DAC-9は同一の条件(ClearImageAudio T4→camelot technology pm-780)で比較しますが、Ifi Micro iDSDは普通の電源ケーブルが使用出来ないため内臓バッテリー駆動となります。それ以外は同軸ケーブルもRCAケーブルも同じ物を繋ぎ変えて比較試聴します。


・Nuforce DAC-9
低音域が豊かで3機種の中で一番広がりのある音を鳴らす。低音域の質が良く重低音域がしっかり再現されている事からバランス的に低音域に偏っているわけでは無いのだが一番重みのあり芯のある低音域を鳴らしてくれる。音の広がりが良くヘッドホンでも頭内定位が気になりにくい音で再生されとても上手い鳴らし方をするなという印象があるが良くも悪くも癖のある音である。また3機種の中で高音域の鮮やかさは1歩劣る印象。
・Ifi Micro iDSD
とても軽快で明るい音を鳴らす。高音域のキレの良さはなかなか良くドラムのシンバルの音などがかなり主張して鳴ってくれるのが印象的で3機種の中では一番高音域のシャリシャリとした音が目立つ。軽快さがあり明瞭である反面低音域の量感は少なく、重低音域があまり再現されていない印象で全体的に軽めな音にも感じる。
・Aune S16
解像度の高さは3機種の中で群を抜いており、高音域の鮮やかさやバスドラムの音の粒立ちの良さ等がとても印象的な音である。良くも悪くも癖は少ない音でとても堅実にあるがままの音を鳴らしてくれる機種という印象で派手な音はあまり鳴らない。そして全体的に少しカッチリとした音であるため膨らみのある低音域等を主体とする音源だと少し面白みは無いかもしれない。低音域の量感は申し分なく、しっかりと重低音も再現されているのだが低音の質自体はNuforce DAC-9のほうが芯に響くような深みのある低音域が鳴り一枚上手という印象もある。

音としては前述したように解像度の高さと癖の少なさが印象的で、とても堅実な音のDACという印象が強かったです。旭化成の最上位AK4495Sを使用しているおかげか、今回比較した3機種の中でも解像度の高さは群を抜いていましたし、入力にはノイズアイソレーターやトランスを使用する等細かいところまでしっかりと作り込まれた真面目なDACという印象でした。価格も699ドルとこのスペックにしてはお手軽ですし、解像度が高くカッチリとした音のDACが欲しい方にはかなりオススメできる機種だと思います。
ちなみに「解像度が高くカッチリとした音」というとどんな音源に合うと思いますか?そう、このDACで聴くテクニカルデスメタルは最高なんです(・∀・)